子どもの笑顔が育ちまち。大田笑市 栃木県大田原市

移住者インタビュー

秋山佳奈子さん

「私のオオタワライフ」後編

東京の美術大学で助手を勤められていた秋山佳奈子さん。およそ10年間住んでいた東京を離れ、海外での活動を経て、2016年2月に大田原に移住しました。現在、秋山さんは「大田原市 芸術文化研究所」の一員として働くかたわら、市内で創作活動を行っています。なぜ、大田原への移住を決意したのか?そして移住してからの思いとは?リアルタイムで「オオタワライフ」を楽しむ秋山さんに一日密着しました。
今回の取材場所は秋山さん自らがセレクト。いずれも「私のオオタワライフ」を語る上で重要な場所とのことですか・・・?

3カ所目:人との絆を紡ぐ場所

館(両郷地区のコミュニティプレイス)

次の取材地への移動中、秋山さんに一本の電話が掛かってきました。「どうやら次の場所に、地元の人たちも駆けつけてくれているみたいなんです。ご一緒しても大丈夫ですか?」もちろん!素敵な飛び入りゲストを迎えて、3カ所目「館」でのインタビューが始まりました。
集まってくださったのは、研究所がある両郷地区にお住まいの皆さん。生まれも育ちも大田原、さらに全員が研究所の建物の前身である旧両郷中学校ご出身という仲良し5人組です。「秋山さんのためならと思ってさぁ」とニコニコ笑顔で出迎えて頂きました。

私のオオタワライフ(6) 地元の人との強い絆

―まずこの「館」とはどういうところなんですか?

「地域の交流の場です。正式名称はないけど、みんな“館(やかた)”って呼んでるね。元々お店だったところを有志で整備して、地区の色々な催しに使っています。情報交換会・・・という名のカラオケ大会とかね(笑)基本的には会員制だけど、申請すれば誰でも使えるよ」(両郷地区の皆さん)

―秋山さんがこの場所を取材の地に選んだ理由は?

「ここには、私を含む研究所員がいつも大変お世話になっています。シンポジウムの作家の歓送迎会を開いて頂いたり、飲み会にお呼ばれしたり。館は研究所と地元の皆さんをつなぐとても大切な場所なんです。(両郷地区の皆さんに)もう数え切れないほど来ていますよね?私。」

来てくれてるねぇ、この前もさぁ、とお話に花を咲かせる地元の皆さんたち。「皆さん本当に優しくて面白いんですよ」と楽しそうに語る秋山さんの笑顔を見ただけで、研究所と地域の絆、そして秋山さんが現在の生活をエンジョイしている様子が伝わってきます。

「研究所ができると知ったときは、みんな大歓迎でしたよ。ここら辺も若い人らが少なくなっていたしね。研究所とは一心同体!今度地元の大きな祭り(那須の郷高館まつり)も研究所で開催します。お世話になるんだから、草刈りなんかいつもでやるよ」(両郷地区の皆さん)

私のオオタワライフ(7) 「芸術のまち大田原」を広めたい

両郷地区に芸術文化研究所が創設されたのは3年前。研究所も地元の皆さんも、まだまだ一緒に叶えたい夢に向かって奮闘中です。研究所を拠点に「芸術のまち大田原」というイメージを発信することも、これからの大きな目標だそう。

「シンポジウムで制作した作品は全て大田原市内の各所に常設展示することになっています。研究所は中心地から少し離れた場所にあるので、まだ市内でも存在を知らない方が多いんです。まずは市民の皆さんに私たちの活動を知って頂きたいですね。そしてそれが地域の活性化につながればと思っています」(秋山さん)

「研究所の活動が広まって、地元に人が集まってくれるのが将来の夢。あとは獅子舞などの郷土文化を保存して、広く発信していくホームベースになってもらえたら嬉しいです。まずは市内、それから日本、そして海外へ!秋山さんたち研究所の芸術家さんたちがもっともっと世界で活躍できるよう、私たちはこれからも応援していきます」(両郷地区の皆さん)

ロケ地情報

〒324-0206
大田原市中野内1859

4カ所目:ほっと一息つける場所

café as

両郷地区の皆さんとの楽しい時間を過ごした後、いよいよ最後の取材場所へ。到着した場所は、大田原市中央にある「café as(アズ)」です。
「ここは協力隊の仲間が運営しているカフェなんですよ」
実は秋山さん、大田原市が募集した「地域おこし協力隊」の隊員として研究所に勤めています。

地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化が進行する地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、自然や歴史、文化などの地域資源を活用し、地域力の維持・強化を図ることを目的とした国が推進するプロジェクトです。地方自治体ごとに募集する人材や育成方法などは異なりますが、大田原市は一度に最多の隊員数15名を受け入れるなど、積極的にプロジェクトに参画している自治体として注目を集めています。

私のオオタワライフ(8) 地域も隊員同士も協力

café asは、昭和26年築の元農協事務所をリノベーションした古民家カフェです。中に入れば、針を落としたレコードから流れるジャズの調べ、珈琲の香り、レトロな調度品・・・まるでタイムスリップしたかのような空間が広がっています。また、カウンターには近所の方が作った可愛らしい小物や絵はがきの販売コーナーが設けられており、これまでの取材地でも感じた、大田原の人々のものづくりや芸術文化活動への意識の高さを改めて実感しました。

café asのオーナー石井和枝さんは、地域おこし協力隊の最年長隊員です。大田原出身で、長い間東京で暮らしたのち、このまちに再び戻ってきたUターン組だそうです。秋山さんとは「カナちゃん」「カズちゃん」と親しく呼び合う間柄。せっかくなので、café asの名物、手作り蒸しパンを美味しく頂きながら、石井さんにもお話を伺いました。

―素敵なお店ですね。

「今年オープンしたばかりなんですよ。私が協力隊に応募したのも、市街地の空き家を再活用したコミュニティ活動やボランティア活動の拠点づくりが目標だったので、まずは一安心です。もともと建物内にあった役場の備品や写真などをインテリアに再利用しつつ、壁のペンキ塗りから照明器具のリメイクなど、一から手作りしたお店です。協力隊の仲間も手伝ってくれたんですよ」(石井さん)

―協力隊は大田原でどういうお仕事をなさっているんですか?

「私の場合は文化芸術の振興活動、カズちゃんは古民家再生、というように隊員によって内容は様々です。他の隊員が開催するイベントでアート関連の企画があれば私がお手伝いをしたり、カズちゃんはお店を出したりと、それぞれの活動が成功するよう、隊員同士の相互サポートも行っています」(秋山さん)

私のオオタワライフ(9) 見つけた自分の居場所

「as」の由来は「activeアクティブ-seniorシニア」。故郷に帰ってきて、石井さんはお店を開くための家探しと同時に、自分の居場所づくりも模索したそうです。

「大田原は、暮らすのに“ちょうどいい”の。広くもなく狭くもなく、東京から離れているわけでもなく。災害も少ないし気候も穏やか。芸術文化活動にも熱心だし教育や高齢者支援にも力を入れている。そんなバランスの良さが、東京よりも暮らしやすい場所だと感じています」

大田原に自分の居場所を感じているのは、現在も市外で活動を行う秋山さんも同じです。

「海外で活動するにしても拠点は日本に持っておきたい。拠点があるから、どんなところにでもフットワーク軽く行ける。大田原にはそういう安心感がありますね。研究所の任期は限られていますが、もしまた別の仕事を大田原で見つけることができたら、自分の居場所としてもっとゆっくり向かい合っていけるまちだと思います」

ロケ地情報

café as

〒324-0056
栃木県大田原市中央
1-17-14

TEL:0287-46-5300

インタビューを終えて

1日たっぷり密着させて頂いた秋山さんに、今日の感想を伺いました。

「1日大田原を巡ってみて、改めて良いところが多いなと感じました。そして何よりも、両郷地区の皆さんや協力隊の仲間など、大田原の人々のご協力で成り立っている生活だなと実感しています」
「(今後のオオタワライフで期待することは)大田原はのんびりのどかだけど、想定外なことも起こります。珍しい動物に出くわしたり季節の移ろいを感じたり。そしてもちろん人との出会いも。以前の生活では、そういうちょっとした想定外を楽しむ余裕がなかったので、明日はどんなことが起きるかな、出会いがあるかなと、ワクワクしている毎日です」

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